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Eisen's Corner
コラム編
不二家問題を契機に自社の体制見直しを
2007.01.27

不二家の品質管理の劣悪さ、消費者を舐めきった製造、品質管理の実態はあきれるばかりである。

行政の規格より遥かに緩い内部規格。その内部規格さえも守らない企業体質。不良があっても偶然と称し改善を図らずに隠蔽することが平然と許される企業体質の膿が、今どっと出て来ている。

蛾が入っていただけでなく、活きた蛾の幼虫が入っていたチョコレートもあり、しかも抜本的改善がなされていないとのニュースを聞いて呆れて物も言えない。雪印事件での教訓を全く取り入れていない。雪印事件を他山の石として、我が社の実態は何処を叩いても全く問題ないと言えるレベルかと反省し、あの時点で改善に努め全ていれば、全プロセスを見直していれば、この種の問題は発生するはずが無い。社長以下全管理職の責任は重大である。

行政等、外部が要求するスペックを守ろうとすれば、品質管理上、社内規格はそれより更に厳しい規格とする必要がある。しかし不二家は逆に緩い社内規格としていた。しかもその緩い社内規格さえも守らないのが常態化していた。この様な企業、特に食品会社があるなどは筆者は考えもしなかった。

どんな会社も色々な不備があろう。それはある一時期は仕方が無い。しかし、仕方が無いと開き直ってそれで良いと言う訳ではない。目標を常に高いところに持ち、必要な改善を継続的にすることが求められているのである。自社の利益や、自分の保身ではなく、目線をお客様・消費者に合わせて必要な改善をすることが重要で、それが出来ない企業はフェードアウェーしてもらわなければならない。そんな会社の存在を許してはならないと考える。

蛾が食品に入り込む様なプロセスは勿論あってはならないが、それが不幸にして発生してしまった場合、隠蔽するのではなく、

 ① まず消費者の健康を考え必要な手を迅速に打つ。(製品回収やマスコミへの周知等を含む) 

 ② 発生原因を調査し、暫定策を実施する。

 ③ 同じ失敗を二度と発生させない様な恒久的改善策を導入する。

  ④ その為の手順書、マニュアルをきちんと整備する。

 ⑤ 改善策がうまく機能しているかどうかの検証を行う。 

と言う日常の仕組みを構築し、それをきちんと守ることが重要である。

実はこの仕組みの構築は、今話題の個人情報問題やリスクマネジメント、内部統制の問題と同じであり、最も重要な問題の一つである。即ち一人や二人の不心得者がいても、組織としてはきちんとそれがチェックできる体制の整備が望まれている。

不二家の事件を同族会社の弊害と捉える向きもあろうが、同族会社であっても、不祥事が起こらない様にそれに最大の神経を使い、例えば社是となる位にすればそれは防げるのである。要は会社の風土に、そして組織に、不正を許さない仕組みが織り込まれているかどうかであろう。

我々が常に心しておかねばならないのは「人は起こしたことで非難されるのではなく、起こしたことにどう対応したかによって非難されるのである」と言うことである。

ビジネス行動は「会社の視点」だけでなく、「社会の視点」でも見ることが必要であり、「会社の常識」=「社会の非常識」となる様な事は厳に避けなければならない。

宮崎県の東国原知事が、就任第一声で過去の膿を全て出し切ろうと呼びかけたが、我々は、雪印、三菱、不二家等の問題を自社の問題として捉え、過去は不問にしても良いから、今一度現在の業務の見直しをはかり、今後同様な事象が発生しない様な強い社内体制を作らなくてはならない。

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