「地球温暖化のエセ科学」と言う題のメールを田中宇(さかえ)氏より頂いた。氏は国際ジャーナリストであり、イラン、イラク問題を始めとする殆ど全ての国際問題に付いて、裏の裏迄調べ上げ、それに注釈を付けながら独自の理論展開をしている方であり、筆者は既に5年以上、彼から情報を頂いている。その緻密な調査と明快な理論展開、未来予測、歯に絹着せない筆力を筆者は尊敬している。
過日、筆者がこのコラムにて、温暖化防止活動への認識をあらたにしてもらうべく、「An Inconvenient Truth」(不都合な真実)」を書いて、アル・ゴア氏のドキュメンタリー映画の鑑賞をお勧めしたが、今回の田中氏のメールは地球温暖化防止の動きに対し、多くの疑問点を指摘しており、「えっ!それ本当?」 と、改めて政治、経済の裏の裏の複雑さに驚きの念を隠せない。筆者としてはここ数年の暖冬は明らかに異常であると実感し、今後の農作物や地球環境に与える影響を懸念するが、読者各位も同じと考える。又、温暖化防止活動を無駄とか、悪いとは思わないので、田中氏の解説が真実であっても現状の方向性を誤りとは思わないが、一つの理論や世論の形成の背景にこの様な複雑な絡みがある事を知り、我々一般人が物の本質を見極めることの難しさ、常識の危うさ・怖さに付いて考えさせられた。田中氏の論旨の概略を記すると;
1)国連の「気候変動に関する国際パネル」IPCCが、地球温暖化に関する4回目の
報告書の要約版を発表。地球温暖化は「疑問の余地のないこと」としている。
2)アル・ゴア元副大統領が出演した映画「An Inconvenient Truth」で温暖化により
海面が6m上昇、低地にあるフロリダ、オランダや上海が洪水の光景でショック。
3)英経済学者ニコラス・スターン卿が、温暖化への経済的対策提案「スターン報
告書」を発表。海面上昇が世界各地で大洪水を発生、2億人が家を失い、干ば
つで発展途上国の飢餓がひどくなる等、世界経済を毎年5%ずつ破壊すると分析。
対策に毎年、世界経済の1%にあたる資金を、温暖化対策の技術開発に充てると
共に、ガス排出権を売買できる世界的な取引市場を創設すべきと提案。
この様にIPCCの概要報告書は、温暖化問題に「科学的な根拠」を与え、ゴア氏の映画は、温暖化がいかに深刻な問題かという「イメージ」を誰にでも分かる形で提示。スターン報告書は、温暖化を回避するための「対策」を経済的に提案。これら「三位一体」が正しいなら、温暖化問題は原因から解決方法まで分かったことになる。
しかし、上記3つの根拠となる理論に多くの政治的意図があり、作られたものである。
1)IPCCには130カ国2500人の科学者が参加。ほとんどの学者は、政治的に中立、純粋
に科学的な根拠のみで温暖化を論じているがIPCC事務局の中に温暖化をことさら
誇張し、CO2など人類の排出物が温暖化の原因であるという話を反論不能な「真実」
にしてしまおうと画策する「政治活動家」がいて、議論の結果を歪曲して発表。
2)1980年代「海面は数メートル上昇する」との予測は、90年代に「67cm」、2001年に
は48.5cm、そして今回は38.5cmになった。危険は年とともに減っている。海水面は
既に20cmほど上昇しており。今後あと40cm上昇しても、大した問題ではない。
3)温暖化原因には太陽黒点説その他もあり、一概にCO2とは決め付けられない。「イ
ギリスを中心とする先進国が、発展途上国の成長率の一部をくすねるために考えつ
いたのが、地球温暖化問題である」
としている。氏の分析は単なる思い付きではなく、かなり詳細な検証を基にしているので、あながち否定は出来ない。以下にこの本論のURLを記すので、興味ある方は関係する資料を見て頂きたい。
http://tanakanews.com/070220warming.htm
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