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Eisen's Corner
コラム編

CSとは何か/マイクロソフトの横暴

2008.1.25

Windows Vista拡販の為、Windows XP のサービス対応終了を打ち出して消費者の反発を受け、撤回したマイクロソフトだが、通常のサービス対応でも信じられないことをしている事が判った。
2002年版及び2007年版のパワーポイントに不具合がある為、問い合わせをした今日の事である。先ず、自動応答で、サービス向上訓練の為、会話を録音する事があるとの案内。又顧客対応を上げる為、後日アンケートをお願いするかも知れませんとの話があった。そこまではOKである。顧客満足度向上を考えている事は好ましい。

しかしそれからが問題であった。2002年版は無料対応サービス期間は過ぎているので有料だとのこと。04年に購入(3年半経過)の為、不満ではあるが一応納得。但し、2007年版でも同じ症状が出る為、ソフトのバグである可能性が極めて高いので、問い合わせたのだがと言ったら、お試し版に対しての無料サポートはしていませんとの話。(不具合がある可能性の高い製品を)購入の上、問い合わせて下さいと言うのである。有料製品なら、不具合はないのかと聞いたら、それは判りませんとの返事。普通、お試し版=ベータバージョンはバグ等を発見する為に無料で配布し、お客に協力を願うのが趣旨故、本来はバグの様な情報を重要視しなければならないのだが、、、。使い勝手が良ければ購入しようと思っていたが、機能は増えセキュリティーは上がったが、使い勝手は非常に悪いし、不良品を買うと言うのも抵抗がある。

2002年版の有料対応なら出来ると言われ、では有料対応でなら治るのかと聞くと、それは判らないと言う。兎に角、まづ手続きをし、料金4500円(?)を払って下さいと告げられた。有料で治るならまだしも、治るかどうかはエンジニアと話してみないと判らないが、それには社内手続き上、料金を先に貰うとの話。それでは価値が有るかどうか、全く中身の分からないものに、金を出せと言うのに等しい。食い下がって少し症状を話させてもらったら、Internet Online Supportにて使い方の案内が出ていると言う。私の使い方が悪いと言わんばかり。パワーポイントの使い方はホボ100%理解している。殆ど全ての事をやった上で問い合わせをしているので、単なる使い方の問題とは思わないとお話したが当方の話は全く聞いてくれない。

しかたがないので、1度電話を切り、該当するお知らせを見たが、単なる通常の取扱い説明。当然そんなことは全てやっている。又問い合わせた。すると今度は、すぐ、支払いはカードにするかコンビニで支払うかとの話になった。私は使い方を聞いているのではない。ソフトのバグと思われる症状の話をしているのに料金を取るのか?仮にソフトのバグであって結果的に治らず、バグに付いての情報提供に終わってしまったら、料金は返してくれるのかと聞いたが、エンジニアとの話をすることで、料金が発生するので返さないと言うのである。

使い方が判らず、教えて貰うと言うならパソコン教室と同じで料金発生も理解出来るが、バグは製品不良の一種である。その話をする為に、情報提供側のユーザーが金を払わないとエンジニアが聞く耳を持たないと言うのである。窓口対応の女性は大変申し訳ありませんが社内規定なので、それしか対応できないと言う。それはおかしくはないかと当方、だいぶ粘ったが埒があかない。やや時間を置いて(多分上司と相談したのであろうが)、得られた情報はインターネットで皆様にフィードバックする。そしてやはり料金が発生しますとのこと。

正直言ってもう話をする気持ちすら失った。寡占状態となると、企業の横暴がこの様な形で出てくるものなのだと今更ながら実感した。商売の基本精神を失っていることに気が付かない。CSとか、お客様満足度と言う言葉を使いつつも、本質が判っていない。もしかして、気が付いても、お山の大将我一人と、高をくくっているのであろう。

対照的であったのはIBMであった。今回、ホームページを立ち上げる時、IBMのホームページビルダー11を使った。HTMLはだいぶ勉強したのだが、全てそれでやる程の能力は私には無いしその時間も無い。バージョン12が出る直前(12が出ることは知らなかったが)、他のソフトとの抱き合わせ販売で半額程度で買ったのである。最初は簡単に出来ると思ってやり始めたが、なかなかそうは問屋がおろさない。取り扱い説明書にある様には、自分の思った様には動いてくれない。逆の動きをする時があり、一度変な動作になると、回復に数十分のロス時間が出る。完全なバグである。IBMに何回問い合わせをしたことか。

びっくりしたのはIBMの対応の凄さである。判らない初心者の当方に対し、懇切丁寧に教えてくれ
る。1時間位かかってもとことん教えてくれる(0120番号)。ソフトの問題点を知りつつ、何とかそれをカバーするつじつまの合うやり方を何回でも丁寧に教えてくれた。(人が変わっても基本的に対応は同じであった。)そのうちに当方もソフトの限界を判った上で使いこなす術がある程度見えて来た。しかしここまで来るのに、こちらの頭が下がる程何回も丁寧に教えてくれる。購入したソフト代を遙かに上回る様な対応と感じた。やはり本当のCSの大切さがわかっている会社は違うとつくづく思ってしまった。CSを言葉で言っているだけではなく、行動で示してくれた対応であった。使い勝手は非常に悪い部分が多いが、対応が良いので、不満はそれ程大きくはない。「コンピューター、ソフト無ければ唯の箱」と言われて久しいが、ソフトのバグに付いて、会社でこれだけの対応の差があるとは思ってもみなかった。

米国に続き、ヨーロッパでもマイクロソフトの寡占状態が問題になり、裁判所で会社分割の裁定が下ったとの話である。又、最近、マイクロソフト離れがあちこちの企業や行政でも広がりつつあると聞く。やはり1企業の寡占を許すと各種の弊害が出てくるものとの認識を持つ様になった様だ。殆どの物の同等品が無料でダウンロードできる時代である。又、マイクロソフトの対応が悪い為、個人のお客も大分他に流れているらしい。私ももうマイクロソフトに頼ることは止めようと決心した。そしてそのことを窓口の女性に伝え、貴方個人が悪いとは思っていませんが、これで又一人のお客を失なった事実を上司に報告して下さいね、と言って電話を切った(殆どは市外有料回線)。そして、丁度期限の切れたOffice2007の全てのプログラム(Word, Excel, Power point, Access等)を削除した。

正直に言うと少しほっとした。使いづらいのを慣れるまでの辛抱と、毎日かなり努力をしたが、結局好きになれなかったからである。その上、受信側がOffice 2007を持っていないとファイルを開けることも出来ず、不便この上なしであった。それに全部で700M近くもの巨大容量の不良品?と思うと購入しなくて良かったとの思いが、ほっとさせたのである。(Office2007を削除した我がPCは、動作が軽くなった様で実に調子が良い。)

問い合わせ時の録音がどの様に使われるかは知らないが、巨人が大きな変化をする迄にはだいぶお客を失うであろうと思われた。どんな大企業でも、商売の基本、お客様の気持ちを判らなくなったらおしまいである。「奢れるもの久しからず」と言うのは常に真実と思う。

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