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1)生産性とは何か
生産性P(Productivity)とは投入した原材料や労力に対して、アウトプットされた製品等、成果物の割合を言う。即ちinputに対するoutput である。一般に業務の生産性と言う場合には、特に労働力、工数に対する成果outputであり、時には業績をも意味する。
この生産性とは、お客様が望む商品や成果物を意味しており、購入されない様な物、必要のない物、即ち不要品不良品をいくら作っても意味がなく、生産性が良いとは言わない。不良品を多く造ることは逆に造らないより悪い事の方が多い。
従って生産性を考える時には、お客様、カスタマーが望むものと言う事が前提であり、最重要課題である。このOutputを最大にすることが生産管理の主な狙いである。
但し、一般に生産管理と言うと製造ラインの様な部門の管理を指すことが多く、生産工程における生産統制や、工程管理等を指す場合が多い。本欄では執筆量的には工程管理の部分の話が多くなろうが、ここでは意識して広義の捉え方をし、製造等の直接部門だけでなく、支援部門やサービス産業(第3次産業)等の生産性も含めて考える。
そしてこの生産性を考える時にはその管理項目である、PQCDSMEIを正しく理解する必要がある。
(1)P:(Productivity=生産性):
ここで言う生産性とはコストを意識した、単位時間当たりの業務遂行の程度の良さを言い、製造ライン等では物の作りやすさを表すこともある。
オフィス等、事務部門の生産性は、必要とされる書類等の単位時間当たりのoutput量である場合もあるし、業績への貢献度である可能性もある。
(2)Q:(Quality=品質)
お客様、ユーザー、成果物を利用する相手、が期待するレベルを期待する物の質と言う意味で品物の質、品質と言う。品質を保証することが重要である。日本では、仕様書の中の重量や長さ等は質の一部とみなされることが多いが、中国では別に扱われる。この為、中国語では質と量、「質量」が日本語の品質と同義である。従って品質管理や品質保証等の部門は質量管理部、質量保証部等となる。物の売買の時には品物の質とその量が重要と言う訳であろうか。
(3)C:(Cost=コスト)
これはお客様にとっての経済性であり、求められる機能に対し、安いコスト(原価)で生産し、出来るだけ安いコスト(販売価格)で提供し、お客様の満足を得る事が重要。お客様にとっての購入コストを下げることが重要であり、原価低減はその為の必要条件でもある。
(4)D:(Delivery, Due date=数量及び納期)
購入相手はメーカーであったり、流通業者であったり、最終消費者であることもあるが、相手の望む納期日にきちんと納入することが重要である。場合によっては相手の真の必要度までも把握しながら、例えば相手の生産体制に合わせてまずはラインストップが起きない事を最優先にし、残りは後で分割納入する等、細やかな対応が必要な場合もある。必要な物を必要な量だけ、必要な日時迄に、出来るだけ安い価格で提供すると言う事が重要となる。
(5)S:(Safety=安全)
社内での関係: 労働災害や事故、疾病等を最小限にして、安心して働け、又生産提供される物のが、安心・安全であることを保障する必要がある。病原菌で汚染された製品が市場に投入される等は許されない為、従業員の健康管理も重要である。
顧客との関係: 製品の安全性を高め、使用者のレベルに合ったものを、又、対象者外の者が偶然又は誤って使用した場合でも、安全性が損なわれない事が重要である。具体的には子供や老人等が安心して使えるような設計の製品の供給を考える必要がある。
(6)M:(Morale=モラール、士気、やる気)
CS、お客様満足度の重要性が言われているが、それを提供する社員の労働意欲が最低では満足なCSは望めない。社員の労働環境が向上して初めてやる気、士気が上がる。高いモチベーション、働きがいを感じて、初めてお客様への真の奉仕の精神が生まれる。この様なポジティブスパイラルとなる様な環境の整備が重要である。
(7)E:(Environment、Ecology=環境)
地球温暖化が叫ばれ、環境に優しい製品が謳い文句になりつつあるが、真に環境に良いとはどんなことかを、製造工程だけではなく、製品のライフサイクル全体での環境への配慮の観点から捉え直し、見せかけではなく、真の環境配慮型対応が求められている。消費者は良くみているものである。
(8)I:(Information=情報)
製品の仕様、使い方、品質や消費期限、賞味期限、原材料情報等消費者にとって重要な情報をきちんと提供することが必須である。
尚、生産性と言う範疇からは多少外れるが、正しい情報をタイムリーに提供できる仕組みの構築と、企業の透明性を高め、株主等ステークホルダーへタイムリーな情報を提供するようなIR(Invester Relation)活動、危機管理体制の構築は企業の命運を左右すると考えるべきである。
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