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消費生活アドバイザー
消費者視点と経営者視点の 組織運営
    
   
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消費者視点と経営者視点の 組織運営
 
(内部統制に消費生活者主体の視点を!)

2006年5月に施行された会社法では上場している大規模企業の経営者に対し、「会社業務の適正を確保するための体制」として内部統制システム整備を法的に義務付けている。

又、同年6月に金融商品取引法が制定され、上場会社の経営者に対し、内部統制報告制度の導入が義務化された。これはいわゆる日本版SOX法(サーベンス・オクスリー法=米国企業改革法)とも称され、財務報告に関わる内部統制の有効性の評価結果を示した内部統制報告書の作成と、公認会計士等による、その適切性の内部統制監査をすることが義務付けられた。そしてこの法律により、今年08年4月以降の事業年度から、内部統制報告制度が実施されることになっている。

この内部統制とは「経営の目的達成について経営者が十分に安心出来ることを保証する為に、取締役会、経営者、従業員等が整備運用する業務プロセスに組み込まれた仕組み」とされている。即ち、経営者の目が届かない様な所でも、不祥事が発生しない様な仕組みの構築を目指し、例え不正が起きても直ぐそれをチェック出来る様な仕組みの構築を言っている。

この様な社会情勢の元、対象企業はその準備に余念がない筈であり、対象企業でなくても、内部統制関連業務に関わっている関係者は、時代遅れにならぬ様に種々の取り組みを行っていると考えていた。従って本来なら企業の不祥事は必然的に減ってくる筈の社会環境にあった。が、それにも拘らず、昨年は世相を表す漢字として「偽」が選ばれた様に、多くの食品の偽装問題があった。その上、驚く事に、経営者自らがその不正に関与、又は指示した疑いが強い様である。しかもその責任を末端に押し付けている。これでは不祥事はなくなる筈がない。

そもそも今回導入される内部統制報告制度は、米国証券市場の信頼性を失墜させたエンロンやワールドコム等の事件を契機に02年7月に米国で制定された上記SOX法の404条を模したものである。そのメインは証券資本市場に於けるディスクロージャー(情報開示)制度の信頼性の向上を目指したものである。又、金融庁企業会計審査会が07年2月に公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準、並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について」にある様に、会社財産の保全と正確な会計帳簿記録の保存を中心とした内部会計統制の構築・維持がメインの目的である。

つまり、
@経営者が十分に安心出来ることを保証、
A証券資本市場に於けるディスクロージャー制度の信頼性の向上、
B会社財産の保全と正確な会計帳簿記録の保存 
等がメインであり、そこには投資家保護と、事業活動に関わる法令の順守は触れているものの、一般消費者、消費生活者を守ると言う視点はあまりない。又違法行為、不正や非効率な経営を事前に防止・抑制する為の内部統制を言ってはいるが、消費者保護はそれ程重要視されていないのではなかろうか。書店に並ぶ内部統制制度構築を解説する参考書等でも、システムの構築や書類の作成手順、管理方式、IT化等に対する項目は多いが、消費者保護を取り上げているものは殆ど見当たらない。即ちこれらの法律は投資家を如何に守るかがメインであり、消費生活者を守ると言う視点が欠けているか、重点に置かれていない。

一方、最近の福田首相の国会での発言では消費者重視の話が多くなり、消費者庁の設立が話題に上り始めた。漸く経済の主体は消費生活者であると言う事が再認識される様になって来たのではと思われる。

企業の運営では、PQCDSMEI(生産性、品質、コスト、納期、安全、モラール、環境、情報)が大切とされ、それらのレベル向上が企業の主要命題である。又その達成すべきレベルは従来は企業が決めていたが、現在はこれらの殆ど(QCDSEI)は最終ユーザーである消費者が決めるものと言う事が定説になって来ている。しかしこのことはまだまだ多くの経営者には十分に理解されていない。このことが何時まで経っても企業の不祥事が無くならない大きな理由の一つではないかと考える。
「お客様第一主義」とか、「お客様は神様」であるとかは、良く聞く標語であるが、その本当の意味はこのQCDSEIの判定基準を決めるのがお客様であり、消費者であると言うことである。
それ故、企業の経営を司り、統制を図る時には従来以上に消費者の視点で考え、消費者の要求を取りいれ、要求が経営に反映できるような仕組みの構築を考えなければならない。

種の中で生き残るものは
   最も強い者でも、
   最も知力の優れた者でもなく、
   最も変化に適応する者である。
     (チャールズ・ダーウイン)
とある様に 「肝心なのは市場の変化即ち、顧客/消費者の要求の変化に絶え間なく適応すること。」である。

その意味において、現在進んでいる内部統制制度を構築する際に、従来の内部統制制度が目指す、証券資本市場や金融市場を意識する経営者主体のものだけではなく、消費者、消費生活者主体の視点を取り入れ、真にお客様に愛される、受け入れられる企業となる様、制度がうまく回る様にする企業努力が強く望まれる。

ご参考:
「不二家問題を契機に自社の体制見直しを」
「最新冷凍技術事情/臨機応変」 
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