1) シックスシグマ(6σ)とは何か
このやや耳慣れないギリシャ文字が出て来るだけで、毛嫌いする方もおられると思うが、数学や統計学では「本当のところ良く判らない事(神のみぞ知る)」に対し、ギリシャ文字を用いる事が多いので、「何だ、訳が判からんことか」とタカを括っておけば良い。シグマとはなんの事はない。標準偏差、即ちバラツキのことを示しているだけである。
|
|
例えば銃で標的をねらった場合、そのターゲットと実際に命中した場所を図示すると、一般にある点を中心にその廻りにバラックことになる。勿論技能レべルや銃の性能により、そのバラツキの度合いは異なる。(ゴルゴ13であればその日の風速、風向、湿度や温度等も当然考慮するであろう。) この命中の様子を、中心及び中心からの距離に応じた命中回数を図示すると、一般に山型となり、銃の性能や射手の技能が良い程、山はシャープになり、バラツキは少ないことになる。そのバラツキがどの様になるかは統計的には推定は出来るが、実際のところは神のみぞ知る事になる訳である。 |
統計学における1シグマとは、この山形の点をつないだ曲線(正規分布曲線)の変曲点(中央の高さの約60.6%の位置で、真横に引いた線とスロープの交点)と山の中心線迄の距離を言う。その距離が少なければ少ない程、山はシャープになる。この曲線上の命中回数を銃の合計射撃回数で割ってやると、それぞれの点は、その位置(X軸)における発生確率を示すことになる。従って中心線より±1シグマ以内の山形の下にある確率は、山形の下の各点における確率の合計となり、約68%となることが知られている。その外側に外れる確率は約32%と言うことになる。(注:山の形状がシャープであれば1シグマーの距離は小さく、なだらかであれば大きくなるが、1シグマ下の確率は変わらない。)
同様に±2シグマ以内の山の下にある確率は95.5%、±3シグマ以内は99.7%となる。従って6シグマとは±6シグマ以内となる確率で、これは99.9999998%、あと一歩でナイン・ナインの確率と言うことであり、その外側は0.0000002%すなわち10億分の2と言うことになる。 日本式標記で言うなら2「塵」(ジンと読む)。本当にごくわずかなチリ、ゴミの様な存在を「あーだこーだ」と議論しようとしている訳である。(誰ですかオジンと似たようなもんだ等と言っているのは。)
一方上記山形の中心位置は、人が変わったり、環境が変わったり、手入れの仕方や摩耗の進み具合その他諸々の理由でシフトしてしまうことがある。このシフト量は考える対象により様々であろうが、一般的には最大1.5シグマであることが経験的に知られている。(これを長期のシフトと言う)このことを考慮すると、シックスシグマ能力とは短期的には4.5シグマ相当の実力(短期シフト能力)を持つことが最低限必要と言われている。この長期シフトを考慮した6シグマ(即ち短期の4.5シグマ)の外側 (ハズレ)の確率は3.
4PPM即ち100万回に対し3.4回となる。これが我々の討議しようとしている実際上の6シグマの定義である。
|