2) 何故シックスシグマか?(狭義のシックスシグマ)
製品品質から見たシックスシグマ
従来の品質管理は、良く「1000三つ」と言われて来た。即ち、不良が1000に3つも無い、不良率0.3%未満の不良(0.27%とすると3シグマのレベル)なら上出来、通常は99%の合格率(不良率1%)ならOKとされて来た訳である。
そして、「それを上回る品質の物を作る努力をするより、コストダウンを計ったほうが良い。」との認識があった。従って、JISでもMIL-STDでもそれ以上の品質を要求していなかった。そしてそれらを使って組立てられたものはブロックや半製品の段階で夫々MIL-STDに基づく品質検査がなされ、再びAQL(Acceptable
Quality Level) で1000三つのレベルを保証された物のみが、次の工程に流されて行ったのである。即ち各工程における品質検査/管理がなされていることが前提条件であった。これが日本のすばらしい品質を作った方式であったのである。
では何故今シックスシグマが必要なのであろうか?この答えを得るには不良率1%や3シグマのレベルは実際どんなレベルかを知る必要が有る。
「不良率:1%」 「3シグマ」
毎月約7時間電気が供給されない。 約2時間
毎日約15分間の安全でない飲料水 約4分
(日本:平成9年度のデーターによる)
1時間当りの郵便物の紛失が29500個 約8000個
1日当り18000件の投薬ミス 約4900件
1日2件の飛行機事故 約2日に1件
等となる。
これで、不良率1%又は3シグマの信頼度のレベルが大体お分かり頂けたであろう。マスが大きくなると、かなりの不良となり、とてもそのような品質を認める訳にはいかなくなる。
これに対し6シグマの品質は、中心が長期的に1.5シグマずれても、100万回に対し3.4回であり、同様な考え方を取ると、
電気が供給されないのは 1月当り 約8.8秒
安全でない飲料水は 1日当り 約0.3秒
郵便物の紛失は 1時間当り 10個
投薬ミスは 1日当り 6件
飛行機事故は 4年で 1回
等と激減する。
メガコンベティションの時代となり企業間の競争が厳しくなると、各部門の様々な業務の見直し、リエンジニアリングが進み、更なるコストダウンの要求が非常に厳しくなって来た。そして製品の品質、及びそれらを構成する全ての部品の品質を向上させ、その受け入れ検査に掛ける工数/体制までもコストダウンの対象と考えなくてはならない時代となって来た。
つまり無検査受入れの品質保証体制の確立、即ちストレート歩留りの向上が必要となってきた。「品質は検査で作られるのではない。プロセスの改善により、不良を発生させる原因を除去することで作られるのである。」と言う考え方になって来たのである。
S社製品での例
S社が製造しているコンシューマー製品は平均して約1000点の部品から出来ている。これらの部品の半数はメカ部品、半数は電気部品と仮定しよう。それらは、半田付けされ、又はビス止め/カシメられ、電気的/メカ的な調整がされ製品となる。
これらの工程数は総合すると、部品数量の2〜3倍となると考えられる。(例:半田付けでは1部品2ケ所以上)この為不良が発生する確率は、不良率x(部品点数十総工程数)となり、部品や工程の品質が夫々3.
4ppmとすると 3. 4ppmの3000〜4000倍即ち1.02%〜1.36%となってしまう。
つまり、個々の部品や工程の品質が3. 4ppmと非常に高い精度で、それを外れる事がほんのわずかであっても、部品1000点の製品では、塵も積もれぱ山であり、最終出荷製品の品質を大きく左右する訳である。従ってストレート歩留りを99%以上にしようと考えるなら、最低限3.
4ppm即ちシックスシグマの品質が全てに於いて求められるのである。この様に、「企業等が提供する様々な製品やサービスに内在する、ミスや不良の発生確率(バラツキ)を100万回に対し3.4回以下を目標とする」というのがシックスシグマのねらい (狭義のSix Sigma)であり、製品品質から見た6シグマの必要な背景である。
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